
さて昨今頻繁にカルナバWAXやコーティングについてご相談を受けることがございますが、
量販店などの市販でも相当数の種類があります。メーカーの数だけでも国内、国外を合わせると
何十社とあります。(WAXだけでも数百種類?)ただこのWAXについては、どの製品も同じように
思われているように感じます。しかし「ただのカーWAX」とひとくくりにするには意外と奥が深かったりします。
では何がそれぞれ違うのか?簡単にいかに分けてお話します。
@目的・用途
A構成される成分
B施工方法
C価格・原価
@WAXの目的と用途
皆さんがWAXに求める物はなんでしょうか。おそらく固形WAXを好んで使われる方の多くは、
そのツヤ出し効果と塗装保護(色褪せ防止等)効果が目的でしょうか。また、WAXによっては
コンパウンド(アルミナ、微粒子の研磨剤等)を含んだ物で汚れが落ちる物、はたまた石油系溶剤が主成分の
物ではピッチやタールなどの油分系の汚れを除去する効果があるWAXもあります。
逆に量販店などではあまり取り扱われいないカルナバ含有率を飛び抜けて高い
カルナバ含有率40%以上のカルナバWAX(私の中ではこれがカルナバWAXの一つの定義)は
汚れ除去能力はほぼ皆無ですが、強烈な塗装保護力とツヤを出すものもございます。
物凄く大雑把な分け方ですが、
価格が安い・リーズナブルなWAXの部類 →汚れ落とし効果高い反面ツヤ出しや保護力は低い
1缶100g〜200g¥500〜¥9,000円程度
価格が高い・高級WAXの部類 →ツヤ、保護力は飛び抜けている反面、汚れ除去はほぼ無い
1缶100〜200g¥10,000〜¥1,000,000オーバー(最高級)
といった感じでしょうか。WAXに関しては量販店で売られている物の方が一般的に使いやすいと思いますが、
石油系溶剤やコンパウンド等、ある意味では車に優しくはありません。
A構成される成分の違い
これは目的をどこに向けるかでわかれます。ちなみにWAXと言えば何をイメージされますでしょうか?
A-汚れが落とせるクリーナー+ツヤ出し
B-そこそこのツヤ出し+そこそこの塗装保護
C-強烈なツヤ+高い塗装保護を出すもの
さて、どれが一番近いイメージをお持ちでしょうか。
主に量販店やホームセンターなどで見かけるWAXはAかBです。商品表記上、カルナバ含有率が高い!ときらびやかに
パッケージングされている商品が多いですが、容量に対するカルナバ蝋の含有率や、等級などは明記されていないものが
大半かと思います。メーカー非公表なので詳細はわかりませんが、実際のところ1%〜数%程度の配合かと思います。
ツヤや塗装保護力ではカルナバWAXに遠く及びませんが、これらのWAXの使用感は、汚れ落とし効果が高かったり、
施工後のムラのなりにくさ等、扱いやすさも簡単です。クリーナー兼ツヤ出し剤といった感じでしょうか。
一方、Cのツヤを重要視する場合はカルナバ蝋の含有率が重要になります。カルナバ蝋とは、
ブラジル北部に生息するカルナバ椰子から採れるカルナバ蝋で、天然植物蝋の中で、つや・光沢性・強靭性・硬さ・微結晶性などが
最も優れたものと言われています。本当の意味でのカルナバWAXと呼ばれる物の含有率は、30%から70%の物まであります。
時折、非常に高い配合率のカルナバWAXを持ち込みになられる方がいらっしゃいます。癖が強い上にとても硬くて扱いづらく、施工は相応に大変ですが、
強烈な艶を発します。種類にもよりますが、大方共通しているカルナバWAXの特徴は、形成される被膜が厚く濡れているようなツヤに仕上がります。
B施工方法について
石油系溶剤を使ったWAXもカルナバWAXも基本は薄く塗る事がキレイに仕上げるコツです。
厚く塗っても結局拭き取り後に残存する被膜は変わらない上に、塗りムラの原因になります。
そういった点では石油系溶剤のシュアラスターブラックレーベルなどは、塗り伸ばしやすく、ムラになっても
修正しやすいという利点があります。反対にカルナバWAXは固形状態を手で溶かしてから塗り込み、
厚いしっかりとした被膜ができる反面、塗りムラになりやすかったり、普通のWAXに比べて色々と癖が強いものが多く感じます。
量販店であまり売られることがないのは値段以外にも使い勝手の悪さが関係しているのかもしれません。
C価格、原価について
これらWAXはピンキリです。車にも100万円で買える車もあれば2億円するヴェイロンのような車もあります。
リーズナブルで比較的手ごろな物は1缶500円〜8000円あたりでしょうか。またカルナバ含有率の高い高価なWAXとなると
1缶約200g数万円となり、なかには1缶200g程度で10万円以上となります。
ちなみに最高級のカーWAXは、ザイモール-ロイヤルグレイズ150万円というものもあります。)
これらの値段の差はやはり成分のカルナバ蝋に絡んできます。カルナバ蝋自体がとても高価なので、
これらを数十%の配合と天然オイルなどの成分主体にすると、おのずと値段が跳ね上がります。
かといって、値段が高いWAXは使いやすいかというと、反対に扱いにくく、知らずに使うと濃色車はムラだらけになります。
なんともピーキーなやつです。しかし私はそこが気に入っています。
反面、価格を抑えたWAXは、扱いやすいのですが、石油系溶剤やコンパウンドに頼り気味で、場合によっては塗装にあまりよくない場合があります。
また、コンパウンド含有のWAXを使うと、被膜をたとえ薄くでも、確実に削ります。よくガラスコーティングなどを掛けている車に「NO WAX!!」などと
ステッカーがはってある場合がありますが、おそらくこういった事が関係しているかと思います。
(ディーラー施工のコーティング CPCや5イヤーズコート、ウルトラグラス、はたまたエシュロン、クオーツ等色々ありますが)
それ以外にも、ボディーの状態が親水性なのか疎水性なのかなど、他にも色々あります。
私も今まで多種多様のWAXを使ってみましたが、現在行き着いたカルナバWAXはザイモールとスイスヴァックスです。
お客様からお預かりしているスマートWAXのカルナバ高配合品(公表値67%)も素晴らしいですが、チョッパー洗車.comでは、
この2メーカーの物を使い続けていきます。いつかもっと良いものがあれば切り替えるかもしれませんが、
今のところなさそうです。