
車を洗車した後に、「あれ?なんかいまいちキレにならないな。」と感じた事があると思います。
洗車をしてもなかなか取れない汚れは、意外と多いですよね。このキレイに見えない原因は
色々と考えられますが、その中の一つに輪っか状に見えるシミ状の汚れがあります。
このコラムではこのシミ状の汚れについて大まかに書いてみます。
@イオンデポジット→
ボディー上に残った水分(水玉など)が乾いたことで、水分の中にあった微粒子が塗装上に固着する汚れ・跡です。
成分はカルシウムなど色々ですが、基本、難溶性で中性洗剤でもなかなか落ちません。コーヒーリング現象と呼ばれる、
蒸発する際、水際に微粒子が集まる特性から、円の中心より外側の方が盛り上がっています。わかりやすく言うと、
輪っかの周りがダム状になり、一度その場所にダムが出来ると雨などで水分がのるたびに、そこの位置に水がたまりやすくなる
というわけです。結果として、同じ場所で乾燥を繰り返し、徐々にイオンデポジットは成長していきます。
時間が経過すればするほど、その固着したそうは固く強固になっていきます。もし発見したら早めに除去した方が無難です。
A黒い雨ジミ→
白い車に目立つ黒い筋状の汚れです。濃色車もひどくなるとよくわかりますが、淡色車はより目立ちます。
主に大気中の油分の汚れで、それらを含んだ水の通り道に出来ます。比較的初期段階だと、中性洗剤程度でも落ちますが、
ほっておくとシミとなり、洗車程度ではおちなくなります。塗装の状態が良い車(表面が荒れていない等)ほど、簡単に
除去出来て、イオンデポジットよりも数段マシかもしれません。カルナバWAXやコーティングを施工している
車が洗車で汚れを落としやすいのは、カルナバなどの被膜がこの汚れと強く結びつかないからともいえます。
使用するケミカルによっては、逆にこれらの油分を引き寄せる、厄介な物もあります。水の弾きが良い!!というだけで
実際は逆効果の物も多々ございます。
B樹液・鳥フン・虫の死骸 (水垢系のよごれではないですが一応固着汚れですので。)
酸性・アルカリ性様々な固着汚れです。発見したら、水とケミカルで丁寧に落としましょう。
見て見ぬふりは地獄を見ます。また適当に拭き取ると、塗装が曇ります。
ちなみにこれらの汚れは同じように見えて、特性が違います。固着した汚れの液性が
酸性の場合 →ウォータースポットなど陥没、シミの危険
アルカリ性の場合 →塗装の剥離・シミ・変色の危険
といったように、ボディーへの攻撃性は超強烈です。さらに・・・夏場などの塗装が熱くなる時期は、
これらのダメージはさらに大きくなります。炎天下1日放置だけでもなる時はなります。
ちなみに樹液は水溶性なので、水で少しずつでも一応は溶けます。鳥フンは、中に砂利や木の実のような硬いものを
含む場合があるので、水でふやかし水で流水が基本です。ティッシュにてゴリゴリと拭き取りをされると
水無しの状態で強烈な紙やすりをかけるようにかなり傷が入ります。
虫の死骸はタンパクの固着ということで、専用ケミカルか中性洗剤でふやかすと取りやすくなります。
Cウォータースポット→
市販品の中に、ボディーやガラスなどの「ウォータースポット取り」と書かれている中、
実はイオンデポジットを取る商品だというものも見かけます。余談ですが、正確には
「イオンデポジット取り」「スケール取り」でしょうか。イオンデポジットとウォータースポットは
同じ輪ジミで見た目も似ていますが、全くの別物です。現在、ウォータースポットのような陥没したダメージは
どちらかというと環境に起因する酸性雨の蒸発時や鳥フン、虫の死骸など酸性の固着物による浸食などによる
要因が大きいかもしれません。イオンデポジットは突起物、ウォータースポット(酸性クレーター・熱損傷など)は
陥没といったように分けるとわかりやすいかもしれません。このウォータースポットを除去するには研磨しかないと思われます。
D花粉によるシミ→
これは花粉の時期に良く見られる輪ジミです。デポジットやウォータースポットとは若干性格が異なります。
詳しくはまた、花粉のお話の時にでもお伝えしたいと思いますが、花粉内の物質による塗装のチヂミが原因です。
洗車しただけでツヤツヤになる車と、いまいちツヤが出ない車の違いに大きくかかわっているのが
上記の事+細かい線傷によるものでしょうか。WAXやコーティングの有り無しでも大きく変わりますが、
これらの固着物や線傷を極力抑えれば、高価なコーティングに頼らずとも車はピカピカに出来るわけです。
ではどうしたらこれらを極力防げるかですが・・・。これが難しいですよね。大きな車を家の中にしまえないし。
ただいえる事は、カルナバWAXやコーティングに過度頼らず、小まめに洗うしかないのかもしれません。